断食が注目を集める理由とは？ブームの謎に迫る

断食施設の種類

自分に合った断食施設の選び方。私が経験した断食施設あれこれ

私は断食施設に勤めるかたわら、他の断食施設にも訪れます。どんな断食方法をしているか、またどのような人が断食を行っているかのリサーチをするためです。

北関東にあるリゾート系断食施設に訪れた時のことです。受付で酵素ジュースのボトル1本渡されるのみで、あとは自由時間。そこは山の中でテレビも携帯電話の電波もつながらず、まったくの「無」。ただ、ひたすらボーっと時間のみが過ぎていきます。逆に今の時代でこれを味わえるのは贅沢かもしれません。スタッフにここの魅力を伺ったところ、「星空」という回答。ただ私の滞在中はすべて雨か曇り。「次回を楽しみにしてください！」と受付でいわれたのを覚えています。

西日本の断食施設に行った時のこと。そこはワンフロアーが断食専用、その他のフロアは一般客用でした。しかし、食堂は共通であり、普通に食事していました。

■精神修行系断食

主に、お寺で行っている断食道場。朝からお経を読み、掃除して、座禅・写経に滝行、山登りして、境内で布団を敷いて就寝。仙人になるかのような修行断食。利用者は、今までの自分を変えたい人や家族に無理やり連れてこられた引きこもりの子が多いみたいです。

■都心や大都市のホテルプラン系断食時々、おしゃれなホテルが短い期間で行っている、断食プラン。

2泊3日のスムージーを使ったプチ断食。「お試し断食」といった断食初心者の方が多いようです。

■がっちりプログラム系断食

朝から血圧検査・体重・検温・尿検査、ヨガやストレッチ体操など分刻みのスケジュールが組まれ、自由行動があまりとれない断食施設もあります。しっかり管理されないと自信がない方にはおすすめかもしれません。

■リゾート系断食

一番多いタイプの断食施設です。都心から離れたところで、自由時間も多く、開放感に浸りながらリフレッシュできます。仕事や家庭、面倒な人間関係からも離れてストレスフリーの断食です。ファスティングホテル「海の杜」もこれに該当します。

人と断食してジュースだけの人が一緒。断食している人にとっては地獄です。目をそちらにやらなくても、食べ物の匂いは漂ってきます。これはなかなかの試練でした。

断食施設の断食食としてよく酵素ジュースが用いられます。酵素ジュースとは野菜や果物などの原材料を、素材や菌が持つ酵素と微生物自体の働きによって発酵させた植物発酵飲料のこと。通常、私たちが食べたものは、体内にある自前の消化酵素によって細かく分解（消化）されますが、酵素ジュースによって外から補うことで、体内の消化酵素の節約になります。また、酵素ジュースは発酵を経て栄養素が細かく分解されているため、体内で消化をする必要がなく、断食に向いているとされます。

ただ、モリンガパウダーを使ったモリンガジュースでも、酵素ジュースと同様に体内消化に負担をかけずに、かつ栄養素はそれ以上のため、私の施設では採用しています。

断食にNGなことはありますが、正解はありません。自分に合った断食法を試してみるのがよいでしょう。

ガン患者が断食を選ぶ理由

「断食をしていれば安心して寝れる」

断食施設にはガンを患った人たちがよく訪れます。

病院でガンの宣告を受けた人のほとんどが人生の終わりを意識することでしょう。それだけ自分のまわりの人で、死因がガンであるというのが多いからです。

今や2人に1人がガンになる時代です。ガンを告知された時は目の前が真っ暗になり、何をすればよいのかわからなくなり、暗中模索を実感されるようです。そうして断食という手段に一縷の望みを託して断食施設に訪れるのです。

断食でガンを治そうと思ってくる人が大半だと思うでしょうが、そのような人は少数で、残りの人生どうやって過ごそうか、何をすれば納得できるのかを考えて断食を選ぶ人が多いようです。

「今この時もガンが進行してしまっているのではないのか」そんな不安な気持ちを少しでも進行を抑えて、安心して過ごすために断食を選ぶ人が多いのかもしれません。

「今やってることは体にとってよいこと」「今は断食中だからガンは進行しない」「断食していれば安心して寝れる」。

何もしないで成り行きをただ見ているだけの時間が一番不安なのです。

断食でガンが消えた例も

21年も断食施設に勤めていると、「断食でガンが消えました」という報告を受けることは何度もありました。実際にガンが消えていく様を見たわけではありませんし、科学的根拠もないため、「断食でガンが治る」とは断言できませんが、断食でガンが消えた人は確かに存在します。

埼玉県在住のYさんは肺ガンのステージ4と診断されました。大学病院での治療は受けずに経過観察だけにして、断食を年4回行いました。その結果、1年後の再検査では、あったはずの肺ガンがレントゲンでもMRIでも見つからなかったといいます。驚いた大学病院の医師が「何かしましたか？」と問うので、

「断食を4回やった」と答えました。すると大学病院から私の勤めていた断食施設に問い合わせがあり、「学会で発表したいので、データをください」とのこと。

しかし、こちらでは個人的なデータなどとっているはずもなく、ただ「その方は確かに断食をしました」とお答えするのみでした。

このように「断食をしたらガンが消える」という根拠はありません。ただ、「ガンが消えた」という結果だけはあります。

東京在住の20歳の女性Wさんも脳腫瘍を患いました。どうも手術できないところらしく、食事療法に望みを託して断食施設に来ました。すると、1年後の検査で腫瘍が小さくなっていて、病院での治療は受けずにすんだそうです。

余命3カ月のガン患者Mさんも断食でガンが消えたといいます。Mさんは必死な思いで断食療法に専念し、見事ガンは消えたそうです。その1年後にMさんに会った時には、鏡を見ながら「このシミに効く漢方薬ないかしら」と悩んでいました。1年前は、顔のシミなど気にとめていられない、死ぬか生きるかの瀬戸際だったのに、今は顔のシミが一番の悩みとは、なんて幸せなのだろうと、二人で笑いながら話をしました。